警察が公開した集団淫乱事件の処罰対象者全員はプライバシー権を侵害しているのか。

2023 08/10

事例の説明


2023年5月16日、杭州警察はインターネット上で集団淫乱事件の行政処罰決定を公開し、その中に違法事実を比較的詳細に記載し、処罰対象6人のフルネームを公開し、この事件は急速にネット上で話題になった。同姓同名のネットユーザーの中には、そのために「社死」した経験を訴えるコメントもあり、さらに多くのネットユーザーは杭州警察のこの行為がこの6人のプライバシー権を侵害した疑いがあるのではないかと疑問を抱いている。


弁護士の分析


『中華人民共和国国民法典』(以下『民法典』と略称する)第千零三十二条、第千零三十三条の規定:自然人はプライバシー権を享有する。いかなる組織や個人も、他人のプライバシー権を侵害したり、侵害したり、漏洩したり、公開したりすることはできない。プライバシーは自然人のプライベートの安寧と他人に知られたくないプライベート空間、プライベート活動、プライベート情報である。法律に別途規定があるか、権利者が明確に同意している以外、いかなる組織または個人も他人のプライバシーの安寧を侵害し、他人のプライバシー空間に侵入し、他人のプライバシー活動を公開し、他人のプライバシー情報を処理するなど他人のプライバシー権を侵害する行為を実施してはならない。「中華人民共和国治安管理処罰法」の規定に基づき、警察は群衆の淫行行為を調査・処分する権利があるが、しかし、「民法典」の規定によると、警察が下した行政処罰決定書に記載された違法事実も処罰対象のプライバシー情報を構成し、依然として処罰対象のプライバシーに属している。


『中華人民共和国行政処罰法(2021改正)』には、「一定の社会的影響を有する行政処罰決定は法に基づいて公開すべき」と規定されているにすぎない。しかし、「一定の社会的影響がある」とどのように認定するかについては明確な規定や認定基準はなく、通常、『中華人民共和国政府情報公開条例(2019改正)』(以下『公開条例』と略称する)第20条に規定された「環境保護、公衆衛生、安全生産、食品医薬品、製品品質」など公共利益に重大な影響を与える行政処罰決定のみが自発的に公開すべきだと考えられている。また、「公開条例」第15条は、「商業秘密、プライバシーなどの公開が第三者の合法的権益に損害を与える政府情報に関しては、行政機関は公開してはならない。しかし、第三者は公開することに同意し、または行政機関が公共利益に重大な影響を与えると考えている場合には、公開する」と規定している。公開しない限り、公共の利益に重大な影響を与えることになる。

また、公安部が発表した「公安機関法執行公開規定(2018改正)」第14条、第15条は、「社会に法律文書を公開するには、文書に明記されている自然人の氏名を隠名処理し、姓を残し、名前を「某」に置き換えるべきだ」と規定している。「法律文書を社会に公開するには、文書に明記されている以下の情報を削除しなければならない。事件の事実には風化を害する内容が含まれている……」。


これらの規定を総合すると、警察が集団淫乱事件の処罰対象者全員を公開する行為は適切ではなく、処罰対象者のプライバシー権を侵害した疑いがある。